BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネット上の異なるネットワークシステム(AS)間で経路情報を交換するための主要なプロトコルです。ASは、ネットワークの管理や組織の境界を定義する単位であり、BGPはAS間の経路選択とルーティングを担当します。
BGPの主な特徴や機能の概要は次の通りです
- 経路ベクタープロトコル(バスベクタ型ルーティングプロトコル)
BGPは、経路ベクタープロトコルの一種です。各ASは、他のASへの経路情報をベクター形式で伝えます。このベクター形式の情報には、経路の属性や経由するASのリストなどが含まれます。BGPは、この情報を基に最適な経路を選択します。 - AS(Autonomous System)番号
BGPでは、経路が複数のASを経由することができます。経路情報には、経由するASのリスト(AS番号)が含まれ、ルーティング決定の際に使用されます。AS番号は、経路の信頼性や経由するネットワークの性能などを評価するために利用されます。
AS番号はグローバルAS番号とプライベートAS番号の2つに大きく分類されます。
グローバルAS番号 | 1~64511 | (インターネット上で一意の番号) |
プライベートAS番号 | 64512~65535 | (組織内部で自由に使えるAS番号) |
- ポリシーベースのルーティング制御
BGPは非常に柔軟なルーティング制御を提供します。各ASは、インバウンドトラフィックの経路選択やアウトバウンドトラフィックのフィルタリングなど、ポリシーに基づいたルーティング制御を行うことができます。これにより、ネットワークの管理者はトラフィックの流れを制御し、ネットワークのニーズに合わせて最適な経路を選択できます。 - ルーティングテーブルの交換
BGPでは、異なるAS間でルーティングテーブルを交換します。各ASは、自身の経路情報を他のASに広告し、同時に他のASから経路情報を受け取ります。これにより、インターネット上のネットワーク間で経路情報が共有され、トラフィックが効率的に転送されます。 - EBGPとIBGPについて
BGPルータ間のルーティングプロトコル情報交換にはEBGP(External BGP)とIBGP(Internal BGP)の2種類があります。- EBGP(External Border Gateway Protocol)
異なるAS間でのルーティング情報交換に使用されます。異なるAS間の接続において、EBGPは直接接続している隣接ルータとの間で使用されます。つまり、EBGPはAS間の経路広告(ルーティング情報の通知)や経路制御のために使用されます。 - IBGP(Internal Border Gateway Protocol)
同じAS内でのルーティング情報の交換に使用されます。IBGPは、同じAS内の異なるルータ間で使用され、AS内の経路広告や経路制御に関与します。AS内の内部的な経路を広告することができます。
- EBGP(External Border Gateway Protocol)
BGPはインターネット上のコア(基本)ルーティングプロトコルの一つであり、大規模なネットワークやISP(Internet Service Provider)などで広く利用されています。BGPの設定や運用には専門的な知識と経験が必要であり、ネットワークエンジニアやISPの技術者が担当することが一般的です。
BGPルーター運用の注意点
- セキュリティ
適切なフィルタリングを行い、信頼できる経路情報のみを受け入れるように設定することが重要です。さらに、不正なトラフィックや攻撃からネットワークを保護する必要があります。
- 障害対策
BGPルーターが正常に動作しなくなった場合、大規模なネットワーク障害に発展する可能性があります。BGPルーターの冗長性を確保するために、冗長なネットワークパスや冗長なBGPピアリングを設定することが重要です。
- アップデートとサポート
BGPルーターは複雑な機能を持つため、ベンダーから提供されるアップデートやパッチを定期的に適用することが重要です。また、ベンダーサポートに連絡し、BGPに関連する問題や疑問を解決するためのサポートを受けることも重要です。
このような煩雑で技術的に難易度の高い内容でも弊社が適切にお客様に合った内容でサポート致します。
BGPの現状の課題等
- BGPルートテーブルの成長
インターネットの成長に伴い、BGPルートテーブルのエントリ数も増加しています。これは、新しいASのネットワークへの参加、プレフィックスの追加などによるものです。BGPルートテーブルの成長は、ルーターのメモリや処理能力に負荷をかける可能性があります。
- ルーティングセキュリティの重要性
BGPには信頼性とセキュリティ上の課題が存在します。不正なBGP経路情報の配布によるハイジャックやスプーフィング攻撃のリスクがあります。このため、ルーティングセキュリティの強化が重要視されています。RPKI(Resource Public Key Infrastructure)などのセキュリティメカニズムが導入され、BGPセキュリティの改善が望まれています。
BGPの今後について
- IPv6への移行
IPv4アドレスの枯渇問題を解決するため、IPv6への移行が進んでいます。BGPはIPv4とIPv6の両方をサポートしており、IPv6の採用が増えるにつれて、BGP経路情報のIPv6への拡張も進んでいます。
- マルチパスBGP(MP-BGP)の利用
MP-BGPは複数の経路を同時に広告することができるため、トラフィックエンジニアリングやトラフィック分散に役立ちます。将来的には、MP-BGPの機能がさらに拡張され、より効率的なトラフィック制御が可能になるでしょう。
(MP-BGPはMPLS-VPNを実現するためのPEルータ間で利用するルーティングプロトコルです。MP-BGPは、32ビットのIPv4アドレス以外のさまざまなアドレス情報(address-family)を扱えるようにしているBGPの拡張です。)
- BGPの自動化とオーケストレーション
ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)やネットワークオーケストレーションの進展により、BGPの自動化と制御の向上が期待されています。これにより、ネットワークの柔軟性や可用性が向上し、管理の効率性が高まると予想されています。
但し、これらの内容は、技術の進歩やインターネットの状況に応じて、動向等は変化する可能性があります。
弊社ではBGPを利用したルータの構築(作成)・設定・運用等をサポート致します。
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